小学生編 第8話 地獄の日々

その日の夜も、和雅の家には大心龍介が前回と同じように迎えに来た。情報局の訓練場のある星に着き、少年にトラウマを植え付けたその場所に到着すると、大信真が堂々と立っている横で坂井準も姿があった。

準は龍介と並んで来た和雅の姿を確認すると、大きく頬を膨らせて開口一番こう言った。

「かず、今日帰ったでしょ!」

「あはは、悪い・・・。」

「もう!あそこまで来たから絶対帰らないと思ったのに!ホント油断した!!」

「ごめんって、準ちゃん。」

苦笑いで返す和雅の顔を見て、準は心に思っていた事が確信に変わった。

和雅は確かに学校をサボったりして一見、態度や素行は悪いが根は凄く真面目である。準の持っていった宿題は必ずやっているし、学校に行っていない日でもランドセルには、きちんとその日の時間割通りの教科書が入っていたりする。

そんな彼があの状況で学校に登校しないなんて、何か深い理由が無ければ絶対にそんな事はしない。だからこそ準は心配そうにこう問うた。

「・・・何かあったの?」

「いや、ただ急にサボりたくなっただけだよ。」

準はそれが嘘だとすぐに見抜き話を続けようとしたが、それは叶わなかった。大信真に訓練開始の言葉を告げられたからだ。

和雅、龍介、準の3人がしっかりと正面を向いて反応し、横並びに整列したのを確認すると、真は和雅に視線を向けた。

「和雅、能力は発動できる様になったか?」

「それどころかコントロール出来る様になっていますよ、真さん!」

質問に答えたのは和雅ではなく坂井準だった。答えに満足したような顔を見せた真は、性格の悪そうな不適な笑みと共にこう言う。

「ほう、なら見せてみろ。和雅。」

「あぁ、いいぜ。」

不適な笑みで言葉を返した和雅は次の瞬間、真との間合いを瞬時に移動して詰めると、容赦なく殴りかかった。挑戦的な和雅の行動に、またも満足げに笑いを深くした真は何もせず、ただ和雅を睨み付けた。

その目つきに謎の恐怖を覚えた和雅は咄嗟に、殴りかかった腕を止めて尻餅を付く。

「いい直感だ。よかったな?今日は腕が折れなくて。」

「・・・・・。」

「まぁいい。そこまで出来れば訓練も次の段階に以降できるだろう。では、これからの訓練内容を伝える。これから行うのは・・・。」

真からどんな訓練を言い渡されるのか、少年達は強い緊張感を覚える。彼らの額には、それを表すように汗が流れた。

「俺と毎日殺し合いだ。」

大心真の言葉に、和雅、龍介、準は驚きと動揺を隠せずにいた。

能力を開花させる際に、死への恐怖などが必要なのは理屈的になんとなくわかる。でも、3人の少年が超能力をコントロールが出来る今、それを続ける意味は全くわからなかった。真は話を続ける。

「これは訓練だと思うな、そんな甘えは許されない。お前達に求めるのは強さだけだ、全力で俺を殺しに来い。半端にやる奴は誤って殺されても文句を言うなよ。」

小学生にはあまりにも残酷な言葉をかわきりに、本当の地獄が始まった。

本藤和雅、坂井準、大心龍介は協力し、真に殺されない様にしながら訓練をうける。実力差は歴然で一方的に痛めつけられる訓練。和雅は一方的な中も一矢報いたいと試行錯誤を繰り返したが、油断のない大信真を前に一撃食らわせるどころか、生きる為に必死であった。

毎日毎日。殺される恐怖、痛みと絶望に去らされた。逃げ出したいと何度も思った。でも、逃げる事は出来ない。やるしかない、そう心に言い聞かせる日々だった。

そうして気付けば超能力者としての訓練を始めて半年の月日が流れ、少年達は年が一つ上がり小学5年生になっていた。

次話

死んだ目の少年。本藤和雅は家の近くにある神社の賽銭箱の前で、難しい表情を浮かべて本を読んでいた。 「うーん、どう言う意味だ??...
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