小学生編 第3話 超能力という力

和雅は見知らぬ場所で目を覚ました。横になったまま周りを見回すと、小さなテレビや医療機器のようなものが見え、病院の個室のような空間にも思えた。

「ここは・・・?」

「起きたね!」

和雅が呟いた直後、急に声を掛けられ驚いた少年は、飛び起きると声の主に対して構えた。

それは声を掛けてきたのが、自分を追い回し、襲ってきた茶髪の少年。大心龍介のものだと分かったからだ。

龍介は和雅の反応に苦笑いするとこう言った。

「そんなに構えなくても、もう襲ったりしないよ。」

「お前は一体何者なんだ!!」

「その様子だと体の方は大丈夫そうだね。」

「どっかの誰かが襲って来なければ、健康体だったんだがな。」

「あははっ・・・ごめんね?君の能力を引き出すためには必要な事だったんだ。」

「俺の能力?」

「そう、さっき君は不可解な体験をしなかったかい?」

「不可解・・・?周りの時間が止まったような現象の事か?」

和雅のその返答を聞いた龍介は、驚いた表情を浮かべるとこう続けた。

「止まる?・・・・・そうか。それは予想以上だな。」

「なんのことだ。」

「そうだね。まず結論から言うと君は“超能力者”なんだよ。」

「“超能力者”?」

和雅が龍介の言葉に疑問を感じていると、病室の様な個室の扉がノックされる。

「おっと話しはとりあえずここまでにして本藤君。君に紹介したい人がいるんだ。」

音に反応して龍介はそう言うと、病室の扉の方まで駆け寄り、ノックに対して返事をした後、スライド式の扉を開くと奥から屈強な顔の男が現れた。堂々と中に入って来るその男は黒いスーツを着て、髪型をオールバックにしている。見た目は30代くらいで顎鬚を生やし、ネクタイをせず首もとのボタンを胸元まで外している彼の風貌は、一見するとヤクザのようだった。

和雅は新たな人間の出現に、より強く警戒心を抱く。一見ヤクザな風貌の男を大心龍介が和雅の近くまで誘導すると、優しい口調で紹介を始めた。

「この人は大心真たいしんまこと。僕が所属してる組織のボスであり、僕の父でもある。」

「いきなり連れてきて悪かったな。」

紹介された大心真と言われた男が、龍介に続けてそう口を開く。相手から発せられる謎の威圧感に、和雅は警戒を強くして声を発した。

「俺をどうするつもりだ。」

「簡単なことだ。うちの組織に入れ。」

「ヤクザになる気はない。」

そう即答した和雅に、龍介が補足するように言葉を入れる。

「違うよ本藤君。僕たちの組織は“超能力者”を束ねる会社みたいなものなんだ!」

「正確にはそれだけではないが、小学生のお前に話してもすぐには理解できないだろう。ちなみにお前に拒否権はない。」

大信真は威圧的にそれだけを言い放つと、すぐに病室を出て行ってしまった。そんな一方的な姿に和雅は不満げに言う。

「なんだよ。あのおっさん。」

「ああ言う人なんだ許してあげてよ。混乱するのも分かるけど、超能力者である君を、そのままにしておくのは凄く危険なんだ。制御しきれていない力を持ち続ける事は、いつか暴走を引き起こす。君も傷つくかも知れないし、周りの人も傷つけるかも知れない。」

和雅は龍介の言葉を受けて、自分の周りでよく起きている小さなタイムスリップのような現象の事を思い出す。

あの現象が和雅の持つ、その『超能力』と言われる力によるもので、これを制御し切れない状況で持っていたとして、今は数分のタイムスリップで済んでいるものが数時間単位になったとしたら?

それは恐らく、確実に自分へ大きな被害をこうむるだろう。

「まぁ、ゆっくり考えてよ。」

思考を巡らせ黙り込んだ和雅に、龍介はそういうと病室から出て行った。彼が居なくなったことで緊張が解けた和雅はため息を漏らす。

「はぁ・・・。変なことに巻き込まれたな。」

本藤和雅は龍介達が言っていることが、嘘だとは思えなかった。『超能力』その言葉の意味に一致する心当たりが和雅にはありすぎる。

今まで何度も体験してきた、同じ事を何度も繰り返すようなタイムスリップ現象。龍介に追いかけられていた時に起きた、周りの時間が止まったかの様な現象。これらが自分の制御しきれていない、能力ちからによるものだとしたら納得がいく。

「・・・超能力か。」

和雅はふと目の前で友をなくした、あの悲惨な交通事故のことを思い出していた。

二度と友達を失いたくない。だからもっと自分が強くならなければならない。

そう決意して始めたのが空手でもあったのだが『超能力』という力があれば、またあの様な悲惨な事故が、大切な人の身に起きたとしても未然に防げるかもしれない。ならばこれは、ある意味自分が求めていた力を手にするチャンスだ。

「乗りかかった船だ、全力で利用してやる。」

和雅は決心を強く言葉に表した。

次話

瞳に生気のない少年。本藤和雅は自宅の部屋で目を覚ました。ベットから起き上がると、学校に行くための準備を始める。 彼の通う小学校は制服で...
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