小学生編 第15話 募る想い

3人の少年達が、それぞれの予定の為に別れる事になった後、長めの薄く茶色の髪に優しそうな見た目少年、大心龍介は先ほどまで着ていた黒の戦闘用全身タイツから、いつも着ているグレーのTシャツ、シーパンに着替え、自分の用事を果たす為に情報局の局務長室を訪れた。

何度きてもこの部屋に入る時は緊張するもので、少年は小さな深呼吸をしてから部屋のドアを叩く。

「入れ。」

ドア越しにその渋い声を聞き、龍介の身がさらに引き締まる。

「失礼します!」

そう言って部屋の中に入ると、奥に見える局務長専用の大き目の椅子と机にて書類を眺めている情報局の局務長であり、少年の父親でもある大信真の姿が合った。

彼の腰掛ける椅子は、企業の社長が座るような黒く座り心地の良さそうな大きな椅子。作業をする机は素材のよい木で作られた、両側に引き出しのある豪華な作りの机。背にある壁には、大きなスクリーンモニターに地球のような球体と、電波や雷を彷彿とさせる模様の入った情報局のロゴが中央に大きく表示されている。

局務長大心真は、突っ立って近寄らない龍介に言葉を掛ける。

「よく来たな龍介。早速報告を聞こうか。」

問いかけられた龍介は、バレないように小さく息を吐き、整えながら真のもとまで近づくと、局務長室に来た目的を果たそうと、手に持つ透明な薄型のガラスのような画面に目を通しながら答える。

「はい。準と和雅についてですが、」

「ふん。準と和雅か。」

報告を急に打ち切られ、言葉を挟まれた事に、龍介は頭に疑問を浮かべてこう問うた。

「何かおかしな点があったでしょうか?」

「いや、お前が誰かの名を親しげに呼んでいるのを聞くのは初めてだと思ってな。」

「二人は・・・僕の親友ですから。」

「・・・そうか。続けてくれ。」

「はい。二人の{能力|ちから}の現状ですが、驚くほど早い成長速度です。下手をすればその実力は子供組の上級。いや、幹部にも届き得ます。」

「予想通りだな。」

「局務長は、ここまでのことを想定されていたのですか?」

「まぁな、特に和雅の潜在能力は異常だ。」

「和雅ですか?確かに強力な超能力を持っていますが、彼はそれをうまく使いこなせているようには見えませんよ?それに基礎的に持つ生命エネルギーも少ないようですし、彼には申し訳ないですけど、局務長が前に言った“宝の持ち腐れ”まさにそれが客観的に見て思うことなのですが。」

「今のままではそうだろう。能力だけで行くなら、これからも和雅が成長するには時間が掛かってくるだろうな。だが、これを見ろ。」

大心真はそう言うと、手に持っていた資料を龍介に見せる。

「これは何かの論文ですか?」

「そうだ。和雅が書いたな。」

「え?和雅が!?」

「そうだ。これまでに無い画期的な理論、もしこれが本当に実現されたなら和雅の能力だけではなく、局全体の大きな利益だ。あの子は俺の想像をはるかに超えた成長を、これからも見せてくれる事だろう。実に素晴らしい。」

「・・・・・珍しいですね。貴方が誰かを褒める何て。」

「それくらい和雅の成長は、楽しみだと言うことだよ。」

「・・・・・・そうですか。」

「どうかしたか?龍介?」

「いえ、何も。」

「龍介。お前もうかうかしていると、簡単に越えられてしまうかもしれないな。」

龍介は少しだけ拳を強く握ると、もう一度しっかりと資料に目を通した。

『超能力を物質に宿す方法論』確かにこれを実現できるなら、今までに無い強力な武器をも作る事も可能だろう。

これは親友として、きっと喜ぶことなのだろう。

彼が情報局に利益をもたらし、貢献している姿は実に誇らしいと思う。でも龍介には、どうしても納得のいかない事があった。

(僕は一回も貴方に褒められたことが無いのに、なんで和雅の事は、こんなに簡単に褒めるですか・・・父さん・・・。)

少年は父の顔を見て、心の中で問いかけるようにそう想った。

次話

日付が変わって日曜日。 地球にあるショッピングモール二階、一角にあるゲームコーナーにて、生気のない死んだような目の少年、本藤和雅はUF...
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