小学生編 第20話 続く失敗

本藤和雅が『能力武装』と命名した、自分とまったく同じ超能力を宿した機器の開発に従事してから半年が過ぎた。

今だ失敗を繰り返し続け、うまく動作しない事に流石の少年も頭を抱えていた。稼動実験しては設計図を見直し、論理を組み立て直してはまた失敗する、その連続で彼はすっかり自信を失っていた。

和雅は手に持つ懐中時計の形をした機器の上部分にある突起を押し、再び電源を入れるが能力武装はプスッという音を立て光を失う。

「クソっ!!」

つい頭に血の上った少年は、機器を床に叩き落す。

衝撃をうけて転がっていく“能力武装のなりそこない”を放置して和雅は近くにあった椅子に座る。

「論理は完璧の筈なのに、何でうまく行かない・・・。」

そう呟く少年だが理由は分かっている。

自分の組み立てた論理の内、何かが間違っているのだ。しかし、なかなかその現実に向き合う気力が、今は無い。

俯きながら頭を抱えた和雅は、考えごとを始めブツブツと思考を外に漏らす。すると次の瞬間。彼の両肩に大きな手が勢いよく乗り、後ろから言葉が放たれた。

「やっているね!和雅くん!」

その声に和雅少年は身を震わせるほど驚いた。

おそるおそる後ろを振り向くと、そこには短い黒髪をワックスで固めて七三分けにし、スーツの黒いズボンに白いシャツ。黒いネクタイの上に白衣を着た青年。情報局の副局務長でもある石川俊道の姿があった。

驚愕によって強く鼓動した心臓の音が、辺りに聞こえるのではないかと思うほど鳴り止まぬ中、和雅は振るえ声で言葉を発する。

「いっ、石川さん!お、驚かせないでくださいよ。」

「だって和雅くん。入ってきても、ぜんぜん気が付かないからついね。」

「あぁ、すいません集中していて。」

「どうだい?順調かい?」

「いいえぜんぜん。やっぱり僕には才能が無いのかもしれません。」

「ふふっ、そんな事はないと思うけどね。」

「そんな事あるんです。やっぱり僕は師匠の言う通り、宝の持ち腐れなのかも。」

「師匠って真君のことかい?」

「はい。」

和雅のそんな力ない返事に、七三分けの青年。石川俊道は顎を触る素振りで少し考えを巡らすと、こう言葉に出した。

「和雅くん?君はその能力武装を、何の為に作っているんだい?」

「え?すぐエネルギー切れを起す超能力を、効率的に使う事が出来るように・・・ですが?」

「そうだね。つまり超能力の補填ってことだよね?」

「はい。」

「でも果たして、科学を使ってそれを考えるのは君だけだと思うかな?」

「・・・・えっと、どういう。」

「科学を使って超能力を補填した人物が、他にもいるって事だよ。」

「え!?それは誰なんですか??」

「答えは君の目前さ!」

「まさか・・・・。」

「そう僕がその人、それにね?和雅君。君は恵まれているんだよ?僕は君と違って超能力が強すぎてエネルギー切れを起こすからじゃない。僕は力不足を補うために科学を頼ったんだよ。」

和雅はその言葉に心底驚いた。

力不足?情報局の副局務長と言う高い地位にあるこの人が?少年はそんな疑問を頭いっぱいに浮かべて声を詰まらせるが、俊道は優しい表情で話を続ける。

「僕の能力はね。『瞬間移動』ただそれだけさ、超能力としてはとても有り触れた力。だけどその『瞬間移動』が科学技術と融合させるとどうなるか、それを先輩として、今から君に見せてあげるよ。」

この申し出は少年にとってまさに思っても見ないことだった。

そもそも情報局と言う組織は、龍介に効くところ昇格は完全実力主義で、トップに近ければ近いほど、その能力はあらゆる方面でずば抜けているという。

そんな情報局の副局務長である石川の力を真近で見る事が出来る。それだけでも光栄な事なのに、境遇も似ている。手本にするには打って付けの人物で和雅にとって、とても幸運な事だった。

少年はこの時、大きく胸が高鳴り、瞬間的に目に生気を取り戻した。

次話

鼠色のパーカーに青い七部丈のズボンを履き、死んだような目をした黒髪短髪の少年、本藤和雅は七三分けをきっちりときめた髪型の石川俊道に連れられ、...
スポンサーリンク
スポンサーリンク
スポンサーリンク

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

スポンサーリンク
スポンサーリンク