小学生編 第14話 少年達の訓練風景

熊本県上空 円盤型宇宙船 情報局地球支部。

この大きな宇宙船には、特殊訓練室と言う部屋がある。使用中となっているこの部屋は、巨大な宇宙船の中でも小さな部屋の一つと思うような所だったが、実際は想像もしないような空間が広がっていた。

明らかに乗り物の中ではなく外の景色。辺りは夜で街灯の光と、多くの高層ビルに囲まれた十字路で、二人の少年が訓練のため拳を交えていた。

一人は坊主頭の少年、坂井準。もう一人は生気のない死んだような目をした黒髪短髪の少年、本藤和雅だ。

丁度今、準は和雅の右腕から放たれる拳をかわし、そのまま身体をひねると回し蹴りを放った。和雅はその蹴りを左腕で止め、足を掴むと坊主頭の少年を思い切り地面に叩き付ける。

「ぐっ!」

身体が叩きつけられ怯んだ坂井準に、和雅の足が踏み潰すように襲いかかるが、準は怒った表情を浮かべて超能力を発動し、日本刀に似た形の剣を作り出すと、本藤和雅の足を斬りつけるように振るう。

「な!」

準の行動に驚いた和雅はそう声を出すと、咄嗟に降ろしかけていた足を上げて後ろに倒れ込んだ。すると次の瞬間、空間中にビー!と低音のサイレンにも似た音が鳴り響き、周囲から「バーチャルシステムダウンシマス。」と音声案内が流れ、高層ビルに囲まれた夜の十字路だった外の風景は、徐々に一面白いだけの部屋へと変貌した。

少年達がいるここは空間を一時的に膨張させ、立体映像と組み合わせる事で、室内にまったく違った空間を作り出す部屋で、名前通り訓練のための部屋だ。

尻餅をついていた和雅は不満そうな顔を浮かべると、やってしまったと言うような顔をしている準に向かってこう言った。

「ちょっと準ちゃん。能力は使わないって約束じゃなかったっけ?」

「・・・ごめん。つい。」

「あっぶないなー。」

和雅はそういいながらも、立ち上がり坂井準に手を差し伸べる。坊主頭の少年もその手に笑顔で答え、手を取り立ち上がった。

「二人ともだいぶ上達したね!」

そう声を掛けて来たのは、遠目で二人の訓練を見ていた茶髪の少年。大心龍介だ。そんな彼に和雅は不適な笑みを浮かべて言葉を返す。

「だろー龍介?もう組み手だけなら、お前にも勝てるかもな!」

「ふふっ、僕だって負けないよ。」

「じゃぁ今度は俺とやるか?」

「いいね。」

龍介と和雅はお互いの顔をしっかりと見つめ、楽しそうな表情をして、張り詰めた空気を作る。

そんな今にも始めてしまいそうな、二人の少年の雰囲気を壊すかのように、坊主頭の少年、坂井準が横槍を入れる。

「ていうかさー?このスーツ本当に嫌なんだけど・・・。」

準は嫌そうに自分の着ている伸縮性のある服の襟首を引っ張りながら彼がそう言うのは、今少年達3人が来ているのが、普段着慣れない黒の格闘用スーツだったからだ。

このスーツは全身タイツのような薄い素材にも関らず、銃弾も通さないような強度を誇る。

和雅と龍介はせっかく作った雰囲気を壊され、いまいち複雑な気持ちにはなったが、確かに少年の言うことには賛同できる。

「仕方ないだろ。体操服とかで訓練したら、あっという間に破けてしまうんだし。」

本藤和雅の言葉に龍介と準も同意するように頷く。

そうこうしていると、急に和雅が何かを考え込むように腕を組みだし、その様子に大心龍介と坂井準が顔を見合わせて声を掛けようとした瞬間、少年が大きく声を上げた。

「あっ!!悪い、今日はこの辺で家に帰るよ。」

「え?今日は土曜日だし、まだ学校まで休みは一日あるよ?」

「いや、日曜日は妹の買い物に付き合うって約束しているんだ!」

「妹って、みどりちゃんと?」

「ああ!悪いな二人共!またな!」

そう言うと和雅は急いで部屋を出て行った。

坊主頭の準は残念そうな顔をすると、肩にかけて持っていた超能力で作り出した日本刀の形をした武装を消滅させると、視線を龍介に送る。

「龍介くん、これからどうする?」

「ごめんね、準。そう言えば僕も、これから局務長に報告しないといけない事があったの忘れてた。」

「ええ!そうなの?なら仕方ないか・・・じゃあ一人で訓練してるよ。」

「ごめんね。」

そう言って部屋を、和雅に続いて出て行った龍介を寂しそうに見送った準は、能力で再び白い日本刀のような武装を出現させ、一人訓練室に残って素振りを始めた。

次話

3人の少年達が、それぞれの予定の為に別れる事になった後、長めの薄く茶色の髪に優しそうな見た目少年、大心龍介は先ほどまで着ていた黒の戦闘用全身...
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