小学生編 第13章 少年への関心

科学の知識を頭脳に入れ込んだ衝撃で研究室に備え付けてあるベットで気を失っていた和雅は、飛び起きるやいなや、仕切られているカーテンを開け、研究作業を行なっていた副局務長石川俊道に何か書くものが欲しいとせがんだ。

心良くその願いを聞き入れた俊道に、研究室にあるものなら何でも使って良いと承諾を貰ってから、少年は狂うかの様に紙に文字と数式を書き出していった。しばらくして同じく倒れ込んでしまった美咲が起きて来た時には、彼はある論文を完成させていた。

それは科学に親しんで長い俊道でも、驚愕を隠せないほど新しく画期的なものだった。

七三分けの青年、石川俊道は研究室の端にあるソファーで、ブラックコーヒーを入れた白いマグカップを片手に、和雅の書いた論文『超能力を物質に宿す方法』を読みながら、こう呟いた。

「これは・・・いろんな意味で、末恐ろしいね。」

そう彼が寛いでいると研究室自動ドアのロックが開かれ、一人の男が顔を出した。

「ん?おや、君がここに来るなんて珍しいね。真くん。」

入ってきた男は情報局の局務長。顎鬚を生やし、オールバックの髪型。黒いスーツにネクタイをせず、ボタンを胸元まで外していて、一見ヤクザな風貌の男。大心真である。

真は俊道の問いかけに、こう言葉を返す。

「俊道、和雅と美咲に科学を教えたそうだな。」

「おや、情報が早いね。教えて何かまずい事でもあったかな?」

「いや、そう言う訳では無いが・・・どうだ二人は?」

「気になるかい?」

「・・・・・・・・・・。」

「ふふっ。相変わらず君は素直じゃないね?」

「余計な事を言うのなら、俺は戻る。」

「そんなに怒らないでくれ、ちゃんと話すから、二人とも期待できると思うよ?美咲ちゃんは知識を得てから科学を好きになったようだし、僕にする質問や会話の中で言っていたアイデアはとてもよいものだった。それと和雅君は驚くような論文を書いて見せた。」

「論文?」

「あぁ、これだよ。」

石川俊道はそう言うと、手に持っている資料を真に手渡した。

「『超能力を物質に宿す方法』か。」

「それがもし実現したなら、和雅君は瞬く間に科学者として、全宇宙から注目されるだろうね。」

大心真はそれを聞いてふっと笑うと、資料を俊道に返し部屋を出ようとした。

「おや?もういいのかい?」

「・・・・・俊道。」

「うん?」

「和雅達の面倒。よかったら見てやってくれ。」

「わかっているよ。」

その俊道の返事を聞いた真は、満足そうにもう一度鼻で笑うと、研究室を出て行ってしまった。

そんな局務長の姿を見て、七三分けの青年、俊道は手元にある資料をもう一度見直しながら、こう呟いた。

「彼も、もう少し愛想がいいと、和雅君達も好感がもてるのにねぇ。」

次話

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