小学生編 第5話 信じられない言葉

少年が目を覚ますと辺りは夕方になっていた。夕焼けに染まる空と、カラスの鳴き声が彼の耳に優しく響き、まだ重たい目をこすりながら、和雅は呟く。

「もう夕方か・・・。」

「おはよう、君は学校には行ってないのかい?」

寝起きに突然話しかけられ、和雅はつい飛び起きた。真横を確認すると、そこには正座してニコニコと笑みを浮かべている茶髪の少年。大心龍介たいしんりゅうすけの姿があった。

「お前か・・・。」

そう言うと和雅は龍介の顔を見て、不機嫌なそうな態度を取る。

正直、龍介の事はどうにも好きになれなかった。それはいきなり襲ってきたからと言うのもあるが、それ以外になんだか生理的に受け付けないものを感じていた。

「露骨に嫌そうな顔するね?」

「嫌な奴の顔を見たからな。」

「嫌な奴だなんて酷いなー。」

そんなワザとらしく落ち込んで見せる龍介に、和雅は少しだけ腹を立てると呆れた様に問う。

「これから行くか?」

「いいや、今からじゃない。これからのことを軽く話して置こうと思ってね。」

「これからの事?」

「うん。まず親御さんに変に思われないように、いつも通りに過ごしてもらう。こちらに関わるのは夜からだ。」

「夜?」

「そう親御さんが、君が自室で寝たのを確信した後、僕達がばれない様に迎えにいく。」

「それはわかった。でも、それだと俺、寝る時間なしか?」

「大丈夫、宇宙に行くから。」

「う、宇宙!?」

それは和雅にとって耳を疑うような言葉だった。あまりも突拍子の無いことを言い出した龍介に和雅は激しく混乱するが、彼は気にせず続けた。

「宇宙には地球とは時間の流れが、ちょっと違う所があるんだ。そこを利用すると向こうでの10時間が、こっちでの10分になったりするから眠る時間はあるよ。」

「ええっと・・・。お前正気か?」

「特に何の問題もないよ?」

「宇宙って、あの空のだよな?・・・信じられない。」

「超能力があるんだから、宇宙くらい行けるでしょう?まぁ今夜、実物を見てもらえばいい事だよ。じゃ、また夜に!」

そういうと龍介は、その場を去って行った。

(宇宙・・・・本当なのか??)

いろいろな事が起きて大抵の事にはもう驚かないと思っていたが、今度は宇宙と来た。和雅は何故かそれだけは、この期に及んでも信じられないでいた。

次話

日も落ち暗くなった頃、本藤和雅は家でいつも通りに家族と過ごした。 夕飯を食べ、風呂に入り、時計が10時を回ると少年は両親に挨拶をして、...
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