小学生編 第23話 革新の完成

九州上空『情報局地』球支部 副局務長専用研究室。

ここで本藤和雅、白石美咲の二人の少年少女が、横並びになって自分達の作業に没頭していた。しばらく夢中になり、作業が一段落すると二人して気の抜けた息を吐き、椅子の背もたれに倒れ込むように休憩に入る。

「やっとここまで形にしたか・・・。もう少しだな。」

「ていうか、なんで私まで手伝わされているのよぉ」

そんな風に項垂れて言う美咲に、和雅は横で笑みを浮かべ媚びるように言った。

「いいじゃないですか美咲さん、今度そちらの作業も何か手伝いますから!ね?」

食い気味に迫ってくる和雅に、少女は頬を赤く染めながら、少し押しのけてから答える。

「わっ、わかったわよ。それで?どうなの?出来は。」

「悪くないと思う。後は動作実験だけなんだけど・・・。」

2人は動作実験と言う単語に息を飲む。やはり始めの実験で、大きな爆発が起こったことが脳裏に浮かび、緊張となって現れているようだった。

「とっ、とりあえず一旦落ち着いてお菓子でも食べて、休憩してから次の行動に移ろう。」

「そっ、そうね!」

そう言って、それぞれ手元にあったお菓子に手をつける。

チョコレートやカステラ、羊羹などお茶菓子が中心だが、頭脳労働した後の甘いものは格別だ。

「「うーん♪」」

ついそんな声を上げて、2人して頰に手を当て、ほころんだ表情をする。

和雅は緑茶、美咲は紅茶と好きな飲み物を口に含み、また気の抜けた声を上げる。すると、あることを思い出した美咲が、こう問いかける。

「そう言えばかずくん。副局務長と一緒に仕事したんですってね?」

「うん。いろいろ教えてもらったよ。今回の改良もその時に経験した事と、異星の人に貰った機械の設計図なんかも参考にしているし。」

「聞いた話だけど、仕事中地球人の女の子を見つけたんでしょう?」

「そうそう。一応、情報局が引き取ったみたいだけど、石川さんやけに深刻そうな顔をしていたなぁ。」

「ふーん。で、その子は可愛かったの?」

「いやぁ、顔まともに見てないかな?全裸だった上に、薬品まみれだったから、それどころじゃない様子もあったし。」

「ぜ、全裸!?ふーん。」

「気になるの?」

「別にぃ。」

そう言ってそっぽを向いたショートヘアーの茶髪少女、美咲を見て和雅は首を傾げる。

無言になって、こちらの問いかけに答えなくなった少女に構うのを諦め、和雅はふとコンピューターの画面に目をやると、そこには科学関連の報道が表示されていた。

チョコレートを口に運びながら、光で構成された実体のない画面をタップすると、先頭にある一際大きな記事に目が行く。

「えーと、なになに?魔法学の権威ルーカス・ハーベルまた受賞って、魔法学なんて分野があるのか、宇宙は広いなぁ・・・。にしても、この教授若いな。それに、」

「あら、結構イケメンね。」

「あっ、美咲さんが戻ってきた。」

「なーに、かずくん?イケメンが気に食わなそうな顔ね。」

「急に元気になったな。イケメンは龍介だけで間に合っていますよ。」

「確かにあの子も整った顔しているわよね。」

「おっ?じゃあ、龍介が意外とタイプだったり?」

「なっ、バカにしないでよ!私は顔で選ぶ人間じゃありません!」

また機嫌を悪くしてそっぽを向いた少女の姿を見て、心の中で(そういう意味じゃないのになぁ)と大心龍介の恋心を知る和雅は、密かに思う。

「だけど魔法か、美咲さんは見たことあるの?」

「いいえ、実際にお目にかかった事は無いわ。」

「美咲さんでも無いのか、やっぱ科学も極めると、宇宙で何かいい賞状でも貰えたりするのかな?」

「そうね。皆に認められれば、そんな事もあるじゃない?」

「ふむ。」

和雅は考える。宇宙には、まだまだ知らない超能力以外の異能や法則がある。

それらを理解して、いつか自分の力として取り入れることができたのなら、今よりももっと大切なものを守るために、必要な力を手に入れることができるのではないか、その希望が彼の中に芽生える。

そして心の準備が整った少年は、完成した能力武装『時間』と命名した懐中時計の形を模した、その機器を手に取り立ち上がった。

「あっ・・・え。もうやるんだ。」

「ええ、いつまでもビビってはいられませんからね!」

そう言うと和雅は躊躇なく能力武装のスイッチを入れた。

「ああ!ちょっとま!!!」

失敗して前回のように爆発するかもしれない。その事に対する心構えもできていない少女が、焦ってそんな声を出し咄嗟に顔を覆ったが、周囲はいたって静かで、特に何かが起きている様子はなかった。

白石美咲がおそるおそる目を開け、和雅の方を確認すると、彼は驚いた様子で手に握る能力武装を見ていた。すると少年からこんな一言が発せられる。

「せっ、成功だ。」

「えっ?」

「成功ですよ!美咲さん!!」

そう和雅の能力武装は無事に動作したのだ。

その後すぐに2人は声を上げて喜んだ。少年にとって、今回の成功は今までに感じたことのないような強い達成感だった。

次話

本藤和雅が念願の能力武装『時間』を完成させてから、数日がたった。 この日は、大心龍介、坂井準、和雅、3人の少年達が集まって定期的に行っ...
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