小学生編 第22話 嫌な予感

情報局、地球一般には隠れた超能力者が束ねる組織で、その存在は世間には公にされていない。

そんな組織の本部は、意外とよくみえる場所にある。

それは地球の一番大きな衛星『月』だ。月は表面だけ見ればただの殺風景な星だが、内部は動き出せるほどの作りをした宇宙船で、多くの部屋と機器、情報局の運営に必要なシステムがある。

そんな本部、局務長室という組織を総括する長の部屋で二人の男が、真剣な表情で話しを進めていた。

「それは本当か?俊道。」

そう声を上げたのは顎髭オールバックの局務長大心真たいしんまこと。いつも冷静にあまり表情を崩さない彼が、大きく動揺しているのが窺える。

「本当だよ。あの鉄の塊の中にいたのは紛れもなく。地球の日本人だった。」

そう答えたのは七三分けの青年、副局務長 石川俊道いしかわとしみちだ。

彼も額に汗を流し、動揺を隠せない様子でいるようだ。俊道の発言から沈黙が起き、二人が考え込むようになると、しばらくしてから真が口を開く。

「まずいな。ピテルの星人たちは今回の事についてなんと?」

「『すぐには、返答できない』だそうだ。だが彼らは頭がいい。協力して解決までした我々をすぐに敵として判断する事はないと思うが、これは良くないよ。ほとんど戦争行為だ、宣戦布告に近い。」

「わかっている。正直俺もまだ考えがまとまっていない。」

情報局うちの者がわざわざ超能力の素質のある一般人を攫ってまで、今回のことを起こしたとは思えない。ピテル星との不仲はこちらに不利益しかもたらさないからね。だけど可能性があるとすれば・・・・。」

「・・・・・。だか、結論出すのはまだ早い。一度あの人と会談の場を設けよう」

「もしかしてつぼみさんかい?」

「あぁ、あの人の意見がききたい。」

「うむ。」

そして再び、二人は重い空気になる。

彼らが話しているのは先日、副局務長石川俊道が本藤和雅とピテル星へ赴き、ウイルスが原因で引き起こされた生物の異常な行動と蘇生をする謎の現象を調査中、発見された鉄の機器に入っていた少女の事だ。

その少女を調べて分かったのは、地球のどこからか連れ去られた日本人であるという事、これは場合によっては地球側が仕向けた事として、ピテル星との仲が悪くなるもしくは、最悪の場合戦争になり兼ねない大ごとである。

自分の組織が仕掛けた事を、組織の人間が解決に手を貸す事は無いと思われるので、今回は最悪の状況にはならないかもしれないが、何者かが情報局に不利益をもたらそうと動いているのは確かだ。

そしてこの二人の長達には、これを仕組んだ何者かについて、心の奥底では検討がついていた。

次話

九州上空『情報局地』球支部 副局務長専用研究室。 ここで本藤和雅、白石美咲の二人の少年少女が、横並びになって自分達の作業に没頭していた...
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